君に副業はできるか?(122冊目)

久々にブログを更新しようと思う。友達が本を出したからだ。

「月に1万円でも2万円でもいいから、小さく始めることが秘訣です」

 

そう書いてあった。

私には副業はできない

そう傾き始めた東京の夜である。

 

「月に1万円でも2万円でもいいから、小さく始めることが秘訣です」

 

妙に引っかかる言葉だ。

少し前まで、副業は意識高い若者(マルチワーカー)の独壇場であった。彼らは人口の上位1%といったところで、34歳中年の諦めきってしまった私には手の届かない高嶺の花だ。

それが今や、「副業をしている」は人口の16.7%(P20参照)。

こんなに増えたのは、副業が「小さくなった」からではないのか。

科学者としての私の感がそうささやいている。

日頃から量子物理学に親しんでいることもあり、私はどれくらいの小ささまで許されるのかが気になってしょうがなくなった。しかし答えの瞬間 – モーメント – は本をうつ伏せに置きビッグマックをひとくち食べた瞬間すぐに訪れた。

 

「月に1000円」

 

そんなひらめきが私の背筋をゾクリと駆け上がった。

 

私だって人間だからカネはほしい。

でも副業はやりたくない。疲れて果てているんだ、休日は寝ていたい。

そんな私を、友は叱咤する。

 

「出来ない言い訳より、できる方法を考えましょう」

 

そうだ。今まさに、私は出来ない言い訳を探していたのではないか。

 

私には本当に時間がないのだろうか。

週に1時間ぐらいはあるのではないだろうか。

私は本当にすべての時間疲れ切っているのだろうか。

週に1時間ぐらいは元気なのではないだろうか。

 

「**、時給1000円です。月に1000円稼ぎます」

 

そう言い切ると、なんか清々しい気分になる。

そんなに能力が私にあるのかは不安なところではあるが、

 

「**、時給100円です。月に1000円稼ぎます。月に1日は休日が潰れてしまいますが。ハハハ」

「**、時給250円です。月に1000円稼ぎます。毎週土曜日の夜に、1時間棚卸しをしております。」

「**、時給1000円です。月に1000円稼ぎます。気が向いたときに1時間だけね。」

 

など切り下げるバリエーションも豊富というか無限大だ。いくらでも自分の時給を下げられる。

 

「**、時給10円です。月に100時間、なんでもやります」

 

私はネットで自分の時間を切り売りすべく、早速検索し始めた。

人生を変えるのは、行動のみだからである。

 

「コレだ・・・」

 

『タイピングができればできる仕事です』

 

これこそが今のダウナーな気分にマッチした夜に、ふさわしい。

ただこうした仕事は競争も激しく、すぐ人にとられてしまった。

まぁいい。

この仕事の報酬は5000円。5ヶ月に1度とれればノルマは達成できる。

焦って取る必要はないのである。

 

後半へ続く(友達の本の後半を読む)

【書評】詐欺の帝王(溝口敦)【85冊目】

概要

詐欺の帝王がジャーナリストに懺悔した内容。

帝王がどのくらい帝王かと言うと、ピークには週に9000万円が彼の懐に入っていた。一度、恋人のキャバ嬢を1位にするために、一晩に4000万円を使ったらしいが、痛くも痒くもなかったという。

彼の財源は

  • オレオレ詐欺(発明者)
  • ワンクリック詐欺
  • 未公開株詐欺
  • 社債詐欺
  • イラクディナール詐欺(発明者)

など100通り以上にも及ぶ。

どうやって帝王は上り詰めたのか。

経歴

帝王は大学進学に伴い上京したが、1年生の時にはすでにイベサーを掌握していた。土曜日のベルファーレを6時間120万円で借り切り、スーパーフリーに250万円で売るといったことをやっていた。

当時帝王の上にいたSTという人間は暴力団の子息を顎で使い、のちにマッキンゼーに入社した非常に頭の切れる人間だったという。

大学を1単位以外全て「優」で卒業。卒論は「イノベーション」について。大学卒業後は大手広告代理店に入社するが、5年で左遷されそれを不満に退社。スーパーフリー事件との関与を会社に疑われたからだ。

その後、闇金に参入し、システム詐欺に手を広げた。2002年に闇金を始めてから2年後には、オレオレ詐欺を創始したという。

2008年にはタンス預金が何百億もあった。1億円でミカン箱一つ分だが、それが何百箱もあったのだという。襲撃事件もたびたびあったし、税務署にも襲撃された。

そこで、帝王は海外に資金を対比させることを考えた。ドバイに遊びに行ったときにイラクディナールを日本に持ち帰り、両替できないことに落胆したが、転んでもただは起きぬ帝王、イラクディナール詐欺を思いついたのだという。

海外に資産は分散した。仲間はどんどん逮捕された。帝王も、逮捕で資金を没収されたくないから、自ら引退を決意した。しかし後には、自由に引き出せない巨額の口座のみが残った。

システム詐欺とは何か

システム詐欺とは、1人の個人を複数の店が囲い込み、次から次へと「かぶせ」詐欺を行う、組織的劇場型詐欺である。

例えば自転車操業になって、ある闇金に元金が返済できなかったとする。しかし、グループ全体でみれば、本当にその人に貸した元金は最初の100万程度であり、グループ全体で得た金利や詐欺額からすれば無視できる範囲である。と言う仕組みである。