【書評】神狩り(山田正紀)【32冊目】

概要

神と闘う小説。

この小説はすさまじい。「神との戦い」は中二病業界の永遠のテーマだが、これほどリアルな神がかつてあっただろうか。神を見たことがないのにリアルとは変な表現だが、この小説の敵である神はかつてなくリアルとしか言いようがないのだ。

話の運び方も面白い。

冒頭で神に敗れる(と暗示される)ヴィトゲンシュタイン。傲慢で嫌われ者の天才言語学者の主人公。

遺跡に残された謎の記号<古代文字>。連想コンピュータ(現在の言葉でいえば『人工知能』だが)を駆使して謎を解くと、2つの論理記号と、13重の関係代名詞からなる言語であることが判明する。それが意味するのは・・・?

謎の組織、米軍基地、武装した学生・・・

この作品が執筆された時代背景もあいまって、傑作に仕上がっている。なんと、これは氏のデビュー作なのだそうだ。山田氏はこれを上回る作品を生み出せなかったと評する向きも多いようだ。

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