【書評】The DevOps 逆転だ!究極の継続的デリバリー Phoenix Project(キム・ジーン)【71冊目】

概要

企業でのIT活用がうまくいかない理由は、制約条件の理論で説明できる。

めちゃくちゃ面白い。

まさか、DevOpsというコテコテのIT運用語と、エリヤフ・ゴールドラットの制約条件理論(ボトルネック理論)が全く同じものだったとは思わなかった。知的興奮が頭を駆け巡る。

舞台はまたもや自動車工場である。主人公はIT運用VPに抜擢される。

IT現場の属人化の問題は、実は人がボトルネックであるということだ。リードエンジニアはいろんな重役に利用されていて、ビジー状態のボトルネックになっている。それによって、一人のリードエンジニアが複数のワークセンターをボトルネック化し、IT現場は止まる。

その一人がバスに牽かれると、部門全体が止まる。この現象を、「bus factor」と言われている。

この問題はITに特有である。

手戻り

ITでは「手戻り」が発生することが問題だと言われる。上流工程、下流工程と呼びながら、もはや手戻りはあって当たり前のことになっている。これは、工場だったら許されないことだ。手戻りがないワークフローをシングルピースフローと言い、この本が目指す形態である。

バッチサイズ

ボトルネック理論では、バッチサイズを小さくすることで、ボトルネックの活用度を高める。

IT現場でそれを実現するためには、「1日10デプロイ」を自動化で実現することだ。

【書評】小さなチーム、大きな仕事(ジェイソン・フリード、デイヴィッド・ハイネマイヤー・ハンソン)【54冊目】

概要

常識の逆、つまり会社を小さく保つ術を説く経営書。by 37 signals

2010年当時はこれが最新の「哲学」で、本屋に平積みされていた。原題は”Rework”。労働に対する世間の常識を疑い、労働を組み立てなおすという本だ。

この本は売れた。なんといっても37 signalsという会社は、Ruby on Railsを作った会社だからだ。

目次

本書は何の本で、何が言いたいのだろうか。本書はカリスマ経営者が書いたものだけに引き込まれるものがあり、読むだけでハイテンションになってくる。これはこれですごい才能だが、冷静に読むと脈絡が難しい。

そこで目次に戻ってみようと思う。

  1. 見直す 常識を疑うことを説いている。
  2. 先へ進む スモールビジネスを今すぐ始めろと説いている。
  3. 進展 本質にのみフォーカスし、製品の核を育てる方法を説いている。
  4. 生産性 より少なく働き、無駄をそぎ落とすことについて説いている。
  5. 競合相手 本質で勝つために、それ以外はすべて競合相手以下に抑えるべきと説いている。
  6. 進化 顧客の声を否定し、アウフヘーベンすることから現状脱却が生まれると説いている。
  7. プロモーション 大々的な広告でない、効率的なプロモーションについて説いている。
  8. 人を雇う 最高の逸材のみを雇い、人を増やさないべきだと説いている。
  9. ダメージコントロール 素早く対応することで最小労力でダメージを軽減すべきと説いている。
  10. 文化 本物の文化を自然に育てる方法について説いている。
  11. 最後に ひらめきは今実行しなければ賞味期限を過ぎてしまうと説いている。

つまり、これは読者が会社を作って、軌道に乗り、文化が定着するまでに「気を付けるべきこと集」である。ただ重要なのが、このまとまりのない本の底に流れる彼らの信念。

「小さい組織であり続けることの計り知れないメリット」

だ。