ドリアン・グレイの肖像(オスカーワイルド)121冊目

概要

美少年ドリアン・グレイは歳を取らず、代わりに肖像画が歳をとって行く。

ドリアン・グレイが罪を犯すたび、肖像画の表情は醜く悪辣に歪んでいき・・・

【書評】コンサルティングの悪魔 日本企業を食い荒らす騙しの手口(ルイス・ピーノルト)【95冊目】

概要

コンサルティング業界でパートナーまで上り詰めた者の後悔・懺悔録。

「深海、南極大陸、ピラミッド、月!」

MBAを持っていないのかとプレッシャーをかけられ、激昂して著者が叫んだ言葉。

「嘘をつく、盗む、騙す」

特に有望な若い候補者を試すために、著者が採用面接で投げかけた質問の言葉。

私が知り合ったコンサルタントは、パブリックなデータソースを利用し、「正攻法」で仕事をする人たちだったと思われるし、それほどの悪人もいなかったと思う。しかし残念ながら、著者のほうがそういった人たちの万倍も仕事ができるし、遥かに魅力的であるように思われる。

嘘をつく、盗む、騙す。海底開発と日本に興味を持ち、日本鋼管で貧乏生活を送っていた著者に、転機が訪れる。コンサルタント1年目で、著者は立派な産業スパイとなる。そして、半年ごとに、信じられないような成果を信じられないような方法で上げていく。痛快である。

賢く、何にも洗脳されずに自分の頭ですべてを考え、多言語を操り、魅力的で、異性にモテ、「真に人生を楽しむ方法」、ナイトライフの過ごし方を知っており、しこたま飲んでも翌日にはそれをおくびにも出さない。出会う人間を全て仲間にし、吸血鬼のように全てを奪い取る。

しかし、段々、何かが壊れていく。7年目に達するころ(260ページ)には、完全に壊れてしまう。

【書評】料理人(ハリー・クレッシング)【80冊目】

概要

料理人が貴族の家を乗っ取る話。

作者のハリー・クレッシングは誰かの変名らしく、この本の作者がだれなのかはわかっていないという。

奇跡的な料理の能力、頭脳と腕力、美、魅力、人脈全てを備えた出自不明の主人公コンラッドがコックとして雇われてから、ヒル家の様子は次第に変わっていく。最初は朝食のパンがマフィンに変わった程度だった。しかし、次第に・・・。

この小説の主人公は飢えた黒鷲のようだと形容されるが、最後の最後の1ページでその正体を現す。これを読んだ人は、コンラッドは悪魔だと思わざるを得ないだろう。