【書評】不思議な少年(マーク・トウェイン)【35冊目】

概要

1590年のオーストリア。ある日忽然と現れた美少年が、次々と奇跡を起こす。

少年の名はサタン―

マーク・トウェインの「人間とは何か」と同様、人間不信と人間への軽蔑に満ちた本。こっちは相手が心を読めるからさらにたちが悪い。そして時代は、魔女狩りの真っ最中。

サタンは何度も、人間は動物以下だとういうことを強調する。哀しく愚かな村人たちの行為が、読者をサタンに同調させる。

いわゆる「悪魔もの」の古典である。

【書評】人間とは何か(マーク・トウェイン)【5冊目】

概要

「人間は機械にすぎない」 – そう主張する老人と青年との議論の物語。青年は何一つ反論できずに、最後には老人の人間機械論が勝利を収めることになる。

人間は外力と本能に突き動かされて盲目(無目的)に漂う憐れむべき存在だという基本的な思想はショーペンハウアーの哲学と同義であり、自由意志を否定する点でも共通している。しかし、ショーペンハウアーは認識の力で意志を否定できるとしたのに対し、こちらは理性は心に勝てないとし、悪の行為を選べない動物は遥かに人間以上だとしている。

この本のあまりの説得力に老妻はショックを受け、娘たちもおびえあがったという。妻の死後になるまで出版は許可されず、わずか250部の私家版しか出版されなかった。そのような本を、今我々は簡単に入手して読むことができる。