新訳 道は開ける(デール カーネギー)118冊目

概要

どうやって不安に対処するかの指南書。

実名を出した、数々の実在の人物のエピソードによって語る稀有な本。

【書評】ヘッダ・ガーブレル(イプセン)【103冊目】

概要

凡人の美女が破滅する話。

凡人の嫉妬は醜い。美しい容姿と嫉妬の醜さをかねそろえたヘッダは破滅する。

究極の悪は「無能」であるという。ヘッダは無能の極致だ。

周囲に破滅をまき散らす、無能な美女。その強烈すぎるキャラクターは公開当初拒否反応を巻き起こし、名作であるにもかかわらず、批判と拒絶の嵐にさらされた。

しかし、古くならない内容である。現代社会でさえ、こういう醜い人間であふれている。

【書評】悪について(エーリッヒ・フロム)【94冊目】

概要

悪を哲学的に解明する。

フロムは「自由からの逃走」の著者。加藤諦三氏の本の参考文献となっていたので読んだ。

悪は次の3つから生じるという。

  1. ネクロフィリア
  2. ナルシシズム
  3. 近親相姦的固着(甘え)

ナルシシズムについては納得できるが、ネクロフィリアについては納得できない。

ネクロフィリアは死に憧れる傾向で、誤解を恐れずに言えば「根暗」に近いような描写のされ方である。例えば、「明日学校爆発しないかなー」とか、「戦争/災害が起きてすべてリセットされないかなー」とか、そのような性向のことだ。

そんなにたくさんの人がネクロフィリアなのだろうか。

近親相姦というのは、エディプス・コンプレックス的な話だった。母に甘えたいとか、母体に戻りたいとかいう、全ての人の根底にある甘えのことだ。

だから、この3つによる初期の症状は退行であり、末期の症状が悪だということになる。

【書評】リーダーのための「レジリエンス」入門(久世浩司)【93冊目】

概要

レジリエンスリーダーシップとは何か。

リーダーや管理職は「感情労働」である。多くの多様な部下を「使って」成果を上げるには、ありとあらゆる感情を扱えなくてはならない。

感情を無視して、強権的なカリスマ型リーダーシップに任せるという手は、通用しなくなってきている。なぜなら、社会全体がナレッジワーカーにシフトしているから。ナレッジワーカーは専門性がなかったり、間違った知識をひけらかす浅はかな人間を嫌う。だから、強権的な人間には本心からついていかないことがほとんどだ。

それより、専門家が弱い「変化や危機」に対して打たれ強く、失敗してもすぐ立ち上がる頼もしいリーダーが必要とされている。この打たれ強さの能力を、「レジリエンス」と言う。この能力は、感情を扱う能力でもある。

この能力の利点は、次の5つに繋がることにある。

  1. 楽観力・胆力
  2. 熱意の持続
  3. 利他性
  4. 根拠のある自信
  5. 意志と勇気

 

【書評】自分を見つめる心理学(加藤諦三)【76冊目】

概要

自己中心的なナルシシズムと劣等感により、「間違った生き方」をしていることに気づこう。

なんでこんなに自分のことが知られているんだ・・・と思わされる本。

「自分は何者なんだ?」をテーマにした本は多い。でも、こんなに耳に痛いことをズバズバ言ってくれる本があっただろうか。

あなたが悩むことが多いのは「愛されなかったからだ」と言う。

愛されなかったからこそ自信が持てず、周りが皆敵の中で生き残るために、能力と言う武器を磨いてきた。社会に認められ、尊重されるために。

でも、それは実は間違った生き方で、そんな生き方をしても幸せになれないということに、早く気付くんだ。

  • 自己中心性
    「こんなに頑張った自分は偉い」そんな考えには、自分しか出てこない。
    「頑張った自分がなぜ愛されないのか」これを、ナルシシズムという。
    これは本質的には自分だけおいしいところを食べよう、という考えに過ぎない。
    「頑張って支えてくれているみんな」が視界に入っていないのだ。
  • 劣等感
    「力が欲しい。力があれば、みんなが認めてくれる」力を得ても、もっと欲しくなるだけだ。
    成功者が自分を成功したと思えない現象を、偽名現象という。まさにその状態だ。
    「なぜあいつは努力しないんだ」力を求める人間は、弱者に厳しい。
    だから、みんなに認められないのだ。
    「力以外の、多様な価値観」を認められないのだ。
    結局はあなたと同類の「力の信奉者」が、あなたを利用しようとして集まってくるだけ。

グサグサ来る。心がズタズタにされる。

この著者の文体は簡潔で、過激で、根拠が明快で、正論で、ズバズバ切り込んでくる。