歴史の大局を見渡す 人類の遺産の創造とその記録()119冊目

概要

専門馬鹿の見聞の浅い歴史家が、歴史を超えた宇宙の壮大な話に言及して浅学がばれてしまい、😣ってなる感じの本。

読む価値なし

藩の借金200億円を返済し、200億円貯金した男、山田方谷(皆木 和義)115冊目

概要

板倉家に仕えた山田方谷という改革家の改革の様子を、想像を交えながら紹介する。

 

【書評】毛沢東の私生活(リチスイ)【107冊目】

概要

毛沢東の死を看取り、死体の永久保存を施した主治医が22年間にわたる毛沢東との人生を暴露する。

著者は本書発売の3カ月後、遺体となって発見された。

ニセモノと思うにはリアル過ぎる。

毛沢東は確かに超人的な悪人だが、横暴で好色で不眠におびえる一人間でもあったということがよくわかる。江青や華国峰の人柄も興味深い。

また、本書は教養高い中国人が書いているために、情報の質が極めて良い。例えば、

  • 毛沢東は自分を「傘をさす和尚」と自称していたが、実はこれは「無髪無天」と同じピンインの「無法無天」という意味である。その意味は、

    「自分こそ法であり、神である」

    という意味だった。外人記者は完全にこれを文字通りに受け止め、毛沢東の孤独感として報道してしまったのだった。

  • 毛沢東が理想の君主としていたのは紂王だった。(封神演義でおなじみ、酒池肉林などで有名)

このように、毛沢東を理解するうえで、中国語や中国古典を知らないとわからないことが多いのである。

面白い。

【書評】パスタでたどるイタリア史(池上俊一)【91冊目】

概要

パスタの歴史!

まず、本を開くといきなり16頁ものフルカラー写真。パスタとともにあるイタリア人の生活が生き生きと捉えられている。

多くの日本人はパスタが大好きだ。

パスタの歴史をひもとくと、大航海時代以前と以後でかなり違う。

パスタの発明までは、まず小麦の栽培がメソポタミアで紀元前8000年前後に始まり、紀元前700年前後にはローマ帝国で前パスタ的なものが作られていた。しかし、それはまだパスタではなく、

  • ラザーニャのようなシート型
  • 細切りにして油で揚げる
  • 焼く
  • ハチミツや胡椒と和える

といった食べられ方をしていたのだ。

しかも、中世の王侯貴族らの主食は肉であり、油はラードであった。そのような食事以外は、女性的なものとしてさげすまれ、長い間パスタは日の目を見なかった。当然、パスタやオリーブオイルは女性的な食事だった。

パスタの復活は13世紀末である。しかし依然として、

  • ラザーニャ状
  • ブロードで煮る
  • 四角く切って煮る
  • 粉チーズをかけて食べる

といった現代とはかけ離れたものであった。マッケローニと総称され、「薬」「貴重品」として扱われており、製麺所が次第に増えていった。そしてついにヴェルミチェッリ、今日のスパゲッティの形状のものが誕生した。パスタは爆発的に流行し、1614年には規制されるほどであった。

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しかし驚くべきに、パスタは「手づかみ」でチーズや「砂糖」をかけて食べられていたのだ。

我々が知っているパスタは、トマトとニンニク、唐辛子が無ければ成り立たないから、驚きだ。トマトやその他の材料との出会いは、新大陸からそれらがもたらされるまで待たなければならないのだ。

その他のエピソード

上記のエピソードだけでは、本書の魅力の10分の1も伝えられていない。

例えば、誰もが働かずぐーたら暮らしていて、パスタが山の上から流れてくるのでそれを食べれば生きていけるという楽園「クッカーニャの国」の存在。

そして、パスタを禁じ、芸術的な肉の盛り付けに腐心したという「未来派」の人々。

我々が知らなかったような驚く歴史がこれでもかと語られるのだ。

 

【書評】テロリストのパラソル(藤原伊織)【86冊目】

概要

乱歩賞&直木賞同時受賞の国産ハードボイルド小説。

ハードボイルド小説って何なんだろう。それは硬派でカッコいい主人公が愛のために孤軍奮闘する小説だろう。

この小説の魅力は主人公の魅力と、謎の敵の魅力だろう。

主人公は、全共闘に参加し、のちに爆弾事故を起こして公安に指名手配されている。元東大生。元ボクサー。48歳。いくつもの職を逃げるように転々とし、住み込みのバーテンダーをしている。月収5万円。アル中で、新宿中央公園でウイスキーを飲むのが日課。

主人公は一切の偏見が無い。金にも女にも学歴にも名誉にも興味はない。やくざにもホームレスにも付き合う。無口で強く優しい。

平穏に暮らす彼はいつも通り新宿中央公園でウイスキーを呷っていた。突然、彼の目の前で爆弾テロが起こる。何とか鉄片が突き刺さった程度で生き延びた主人公は、気づけば過去の経歴から、爆弾テロの実行犯として警察に追われる立場になっていた。

彼は、はめられたのだ。誰に、何のために?

という滑り出し。

この小説は、ハードボイルドの古典である「長いお別れ」のファンなら必ず気に入るだろうと思う。男の真の友情の本質を切なく描いている。

【書評】真の独立への道(マハトマ・ガンジー)【81冊目】

概要

ガンジーが非暴力による独立運動を説く。

ガンジーは非暴力不服従主義を貫いてインドをイギリスから独立させた中心人物で、「インド独立の父」と呼ばれる。

この本は、船上でのガンジーの自問自答を記したもので、クジャラーティー語で書かれたものだ。

ガンジーは日本でも有名だが、その思想の具体的な内容についてはあまり日本人には知られていないのではないだろうか?例えば「塩の行進」では彼についていった6000人もの人が投獄された。彼の思想はどのようなもので、なぜそんなにも多くの人を動かしたのだろうか?

ガンジーの思想は次のようになる。

  1. 我々は支配国のイギリスではなく、イギリスが罹っている病気である西欧文明と闘うべきだ。
  2. 文明は欲望を煽る病気で、古代インドから続く生活と宗教より劣った生活形態である。
    • 機械/蓄財/鉄道/弁護士/医者により庶民は争いへと煽られ、メリット以上のデメリットが生まれている。蓄財のために奴隷労働の日々を送り、鉄道により疫病や飢饉や悪人が往来し、弁護士が報酬のために原告と被告の争いに火を注ぎ、医者がその場しのぎの薬を処方することで人々の自然治癒力を奪っている(20世紀の抗うつ薬のようだ)。
    • 武器/大砲は、人を殺すため王が必要とするもので、庶民には不要。
  3. 我々の最強の剣は「サッティヤーグラハ」、魂の力である。これは、慈悲の力を使って理不尽に耐え、周囲の人と平和に生きることであり、「真の文明」を実現する。
    • 剣/大砲を使えば、周囲の人を戦火の応酬に巻き込んでしまう。「剣を使うものは剣によって死ぬ」からだ。
  4. 我々の戦いのゴールは、イギリスが軍隊をインドから引き上げ、塩税のような理不尽な法を撤廃し、奪った富を返還することだ。

なんて分かりやすく、説得力に満ちた思想なのだろうか。

150ページしかない。