【書評】清貧の思想(中野孝次)【48冊目】

概要

清貧=所有を否定する思想の必然性を解説した本。

今も昔も、富を得るためには人から奪うしかない。ブラック企業の社長は社員を死ぬまで働かせる。大企業は下請け企業から搾れるだけ搾り取る。政治家だって不正献金や不正会計まみれである。だから、富める者は誰よりも奪った者で、最も醜い人間と言えるだろう。

しかし人の心は弱い。その事実を見て見ぬふりして、誰もが金持ちになりたいと思うものである。みんな搾取されながら、搾取する側になることに憧れている。それは情けないあり方ではないだろうか。

そうではない人々がいた。彼らは非所有を貫き、むしろ私財を売り払って貧しい人々に分け与えさえした。そうした人々の心の中では、どのように、精神が肉体の欲望に打ち勝ったのだろうか?著者は彼らは無理をしていたのではないと言う。そうした人々の頭の中で進行していたであろうロジックを解説し、清貧が一種の必然性を持つ思想であることを明らかにしようと試みている。

清貧自体は、アッシジのフランチェスコや、釈迦、老子など、外国にもそれを貫いた有名な人がいるある程度普遍的な思想である。

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