【書評】舟を編む(三浦しをん)【73冊目】

概要

変人たちが膨大な時間と情熱をかけて辞書を作る

犬。そこにいるのに、いぬ。ぷぷぷ。

という一般人に理解しがたいジョークを思いついて笑い転げてしまう変人たちが、「玄武書房」で、辞書を作る話である。辞書を作るのは天賦の才能が必要であるが、具体的な原稿は各分野の専門家たちに依頼せざるを得ず、会社から見れば金食い虫と疎まれている。だが、彼らはそんな冷遇など気にも留めない。

辞書を作るための膨大な労力が、非常に詳細に、リアルに描かれているので引き込まれる。この部分を読むだけで感心する。

特に好きなのは、辞書を印刷する紙についての問答の部分である。

「ぬめり感が無い!!!!」

4代にわたる壮大な戦いがたった250ページに収められているのもまたすごくて、ほとんど余分な部分がない。(このへん、SOYとは雲泥の差だ)

とはいえ、語源や細かいこだわりをめぐる戦いは細かすぎて爆笑モノであり、凄いだけではなく、高いエンターテイメント性を持っている。

 

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