概要
青春小説の体裁をとった、ドラッカーの解説書という建前の、萌え絵が表紙の本。
もしドラは意外に面白いのだ。
しかし、それは意外性が面白いのだ。
「フォ、フォアボールをわざと出すようなピッチャーは、う、う、うちのチームには一人もいないんだ!」
加地監督は、しどろもどろになりながら、教室の外にまで聞こえるような大声で、そう叫んだ。(P117)
みんなが青臭い本音をぶつけ合って、お互いを傷つけるように、でもそれだからこそ心の壁を突破し、本物のチームが生まれていく。もしかしたら、ドラッカーの理想論が実現する世界なんて、理想論の青春小説の中にしか無いのかもしれない。
もしこれを現実にやったら、ハブリ、いじめ、モンペ、馘首になるのが今の世の中だ。リアリストは韓非子を読んだ方がいい。
だから、ドラッカーの話は理想論であるという前置きをおかないと、よく意味が分からないのだ。青春小説の中の登場人物の方が、我々より深くドラッカーを深く理解していることに気づいたこの作者はそれだけですごい。