【書評】もしドラ(岩崎夏海)【27冊目】

概要

青春小説の体裁をとった、ドラッカーの解説書という建前の、萌え絵が表紙の本。

もしドラは意外に面白いのだ。

しかし、それは意外性が面白いのだ。

「フォ、フォアボールをわざと出すようなピッチャーは、う、う、うちのチームには一人もいないんだ!」

加地監督は、しどろもどろになりながら、教室の外にまで聞こえるような大声で、そう叫んだ。(P117)

みんなが青臭い本音をぶつけ合って、お互いを傷つけるように、でもそれだからこそ心の壁を突破し、本物のチームが生まれていく。もしかしたら、ドラッカーの理想論が実現する世界なんて、理想論の青春小説の中にしか無いのかもしれない。

もしこれを現実にやったら、ハブリ、いじめ、モンペ、馘首になるのが今の世の中だ。リアリストは韓非子を読んだ方がいい。

だから、ドラッカーの話は理想論であるという前置きをおかないと、よく意味が分からないのだ。青春小説の中の登場人物の方が、我々より深くドラッカーを深く理解していることに気づいたこの作者はそれだけですごい。

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