【書評】すばらしい新世界(オルダス・ハクスリー)【82冊目】

概要

「ユートピア」の不幸さを描くSF小説。

未来のある日。そこはユートピアと化していた。

人工授精により、優れた人間から劣った人間までが決まった割合で生産される。最も優れた階層はアルファ(α)、最も劣った階層はイプシロン(ε)である。α/β/γ/δ/εにはあらかじめつける職業が決まっている。世界の維持には様々な職業が必要である。だから、ユートピアでは、

「人為的に、『劣った』人間が、下働きとして生産されている」

のだ。

αたちは労働をせず、学校にも行かない。学習は、睡眠学習機により自動的に行われるからだ。彼らはフリーセックスと、ソーマと言われる麻薬(向精神薬)を楽しんでいる。

一見して理想的な退廃の世界。しかしこのユートピアは実は、壁に囲まれた区域で、外には「野蛮人」の世界が広がっていることを誰も知らない・・・。

主人公は、フリーセックスも麻薬も本能的に避けてしまう男性で、このユートピアに違和感を感じ、疎外されている。しかしある事件を起こし、それがきっかけで「野蛮人」の一人がこのユートピアに紛れ込んでしまうのだった。

彼、その野蛮人は欠乏から解き放たれて、幸福になるのか、それとも・・・?

ここまでが第一部。第二部で絶望的な結末が待っている。

現代はBRAVE NEW WORLD。「立派な」とか、「勇ましい」とかいう意味がある。

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