【書評】君たちはどう生きるか(吉野源三郎)【21冊目】

概要

舞台は1930年代。コペル君という少年に、友達が増え、友達を裏切り、友達と和解し、精神的成長を遂げる物語。

もともと小学生向けに書かれたのだが、大人になってこれを読んで、身につまされた人は多いらしい。ただ歳をとるだけでは、人は勇気も偉大さも得られないからだ。

物語の冒頭は、コペル君が突然、自分が社会の中の一員でしかないことを自覚することから始まる。ビルの屋上から雑踏を見下ろしていた時に、コペル君は突然そのことに気がつく。

それは、幼年期の自分中心の考えからの脱皮であり、突然社会の存在を意識するようになることだ。これが天動説から地動説への転換のように、その人に見える風景を丸っきり変えてしまうということで、本田潤一はコペル君と呼ばれることになるのである。

頭の回転の早いコペル君は人気者となり、

  • 金持ちの友達
  • 勇気のある友達
  • 貧乏人で、いじめられている友達

の3人の友達ができる。

しかし、頭でっかちのコペル君はこの3人を手酷く裏切ってしまうのである。

人間が立派になろうとするためには直視しなければいけない、卑劣さという心の弱さを描き出した名作だと思う。

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