【書評】村上式シンプル英語勉強法(村上憲郎)【14冊目】

概要

今まで見た中でもっとも優れた英語勉強法の本。

実質100ページくらいしかない、薄い英語勉強本で、Google日本法人社長兼Google本社副社長の人が書いている。

この人が英語勉強を始めたのは31歳で、当時独学した方法が書いてある。

一番使える方法は、「1万語覚える」方法。これはユニークで、1日100個などと最初に決めてしまい、プリントしたものをひたすら眺めるだけというもの。電車の中でも、トイレでも、とにかく眺めるだけで、意味を調べたりはしない。著者曰く、

顔見知りを増やすことが大事。通勤バスでも、何回も見ている顔は覚えてしまいますよね。

とのこと。

ちなみに、この1万語覚える方法を愚直にやってみた結果、私の場合はTOEICであれば945点までは取ることができたので、そこそこ信憑性は高いと言えると思う。

【書評】これが働きたい会社だ(渡邉正裕)【13冊目】

概要

ひたすら具体的に、有名大企業24社について、何歳時点の年収がいくらとか、傷心の仕組みとかが書かれている。全て、社員インタビューに基づいており、信憑性が高い。

ありそうでなかった本。こういう本は抽象的なものが多いが、ここまで分かりやすく実用的なものはなかなか出ないだろう。少々情報は古いが、いつの時代も同じようなことがやられているものだ。空虚な就活本を読むよりはこれを読んだほうがいい。興味があれば、買っておいたほうがいい。企業リストは以下の通りだ。

  1. トヨタ
  2. 日産
  3. NEC
  4. キヤノン
  5. シャープ
  6. 松下電器
  7. サントリー
  8. ソニー
  9. JTB
  10. 富士通
  11. 三井物産
  12. 三菱商事
  13. みずほ銀行
  14. 日本生命
  15. 野村総研
  16. 全日本空輸
  17. リクルート
  18. アクセンチュア
  19. NTTデータ
  20. NHK
  21. IBM
  22. NTTドコモ
  23. 朝日新聞
  24. 東京海上火災保険

【書評】ダメな自分を救う本(石井裕之)【12冊目】

概要

人生を劇的に変えるために、「潜在意識」の力を使え。

この本は、心理学の本。

潜在意識は、「自分にあるもの」にしか働きかけることができず、特に今この瞬間に出来ることにしか干渉できないと説く。ダメな人の場合、とてつもなく小さなことしかできないが、その人が今その瞬間に出来ることを決めないと、いけないと説く。

ひきこもりを例にして、なぜ人間がダメな状態から抜け出せないかを明らかにしている箇所が分かりやすいだろう。

スリッパを揃える話が面白い。

あるひきこもりを脱ひきこもりさせる依頼にたいして、著者は「必ず今この瞬間から出来ること」を二人で議論し続けた。その結果なんと、「便所から出るときにスリッパを必ず揃えます」という結論に落ち着いたのだ。

当然依頼主である両親は激怒したが、結局このひきこもりは社会復帰に成功し、結婚までしたのだった。

つまり、人間は理性的には、「ひきこもりが社会復帰出来るわけがない」と考えてしまうので、無理な目標を実現するには、潜在意識との協働、アファーメーションを利用するというのがこの本の骨子である。

【書評】おざわせんせい(博報堂)【11冊目】

概要

伝説の仕事の鬼であるおざわせんせいの遺した迷言を部下たちが集めたもの。

これは面白い。おざわせんせいは、「アサヒスーパードライ」のCMを作った人。また、「プロフェッショナルアイディア」の著者である。広告業界からは、「アイデアのつくり方」など、この手の本がよく出ている。

以下の名言に共感できれば、まちがいなく値段分は楽しめるだろう。

  • 世界中探したのか?
  • じゃあ、今そこでNASAに電話して。
  • 戦争の最中に、弾丸の込め方を教えている暇はない。
  • 一般人は黙ってろ。
  • お前は鉈だ。

【書評】働き方の教科書(新将命)【10冊目】

概要

働く上での心構えの本。

6社で経営陣をやり、ジョンソン・エンド・ジョンソンの社長に上り詰めた人が書いた。

著者は存命中の人物である(オフィシャルサイト)。

この本の主張は、これをやれば絶対成功するなどというものはないので、基本を極め、凡事徹底せよということ。これは難しいことで、観点のリストがコンパクトにまとまっていることにもこの本の価値があると思う。

  • 情熱を持つ
  • 実務的である
  • 学び努力し続ける
  • 人間を見抜く
  • 運を運んでくる

大成した人ならではの、温かみのある語り口にも惹かれる。この本に費やしたお金のもとは必ず取れるだろう。

【書評】ビッグ・ツリー(佐々木常夫)【9冊目】

概要

自閉症の子と鬱病の妻を守りながら、主人公が東洋レーヨン子会社社長に上り詰めるまでの軌跡。

あらすじを読んだだけでは想像できない生々しさがある。

著者が完璧人間過ぎて、自然と頭を垂れてしまう。もちろん著者が人間である以上、その善意が裏目に出ることもある。その度に心折れず立ち上がる著者の姿は勇ましく神々しい。

この本を読んだ人は、自分が不幸だと愚痴をこぼす前に、この本を思い出すだろう。一家の家長が背負うべき重荷を教えてくれる。

【書評】仕事は楽しいかね?2(デイル・ドーテン)【8冊目】

概要

1巻で成功を収めた主人公は、職場での、部下の代わりに火消しを続ける日々に限界を感じ、かつての師に教えを請いに行く。

「仕事は楽しいかね?」の続編は上司と部下の人間関係の本である。平社員が1巻を読んで管理職に出世したら、それも束の間、次に巻き込まれるのは板挟みの人間関係のつらさだということだろう。

面白いが、題材が身近な分、1巻ほど面白くはない。でも、この本の課題には真剣に取り組む価値がある。

結局、この本の目指す上司の仕事とは、以下のようになるだろう。

  • 最高の労働環境を作る
  • 最高の人材を集める
  • 管理を放棄し、さらに権限を委譲する

ピープルウェアという書籍でも、似た哲学が語られている。

【書評】仕事は楽しいかね?(デイル・ドーテン)【7冊目】

概要

飛行機が大雪で止まった夜の空港で、男は赤ら顔の老人と出会う。老人は男に問う。

「仕事は楽しいかね?」

この本の最も本質的なメッセージは、

「実験に失敗はない」

だろう。

一つのことを極めるという考え方、また人生には「目的」がなければならないという考え方には穴がある。なぜなら、人生は「失敗」の連続だからである。

一度失敗した人間は、もう一つのことを極めることも、当初の人生の目的も果たすことはできない。だから無気力な大人になる。世間は夢を持つことを推奨するが、プロ野球選手になれなかった球児には冷たいのだ。

著者は、「2つ目のキャリアで成功した人たち」は驚くほど多いという。

  • エリツィン大統領は工事の現場監督を続けていた だろうし、
  • あるメジャーリーガーはサッカー選手を続けていた だろう

と言う。そして、これらの人々は「ゴールポイゾニング」に侵されず、生涯実験をやめなかったから成功できたのだと言うのだ。

人生とは「一つのつまらないこと」がずっと続いていくことだ。その一つが仕事であると思っている人は多いが、本当はつまらないのは、「飛び跳ねないこと(実験の欠如したクリエイティブさに欠ける働き方)」なのだと著者は言う。

閉塞的な状況を打破する糸口を探す勇気を与えてくれる本だ。

【書評】ザ・ゴール2(エリヤフ・ゴールドラット)【6冊目】

概要

「ザ・ゴール」の主人公は成功を収め、ユニコ社の多角化部門の社長として腕を振るっていたが、突然会社の売却が決定したのだった。残された時間は3ヶ月…

全体最適化の理論を現実に適用する際に役立つツールを伝授する内容。

この本で紹介されているツールは主に2つ。

  • ネガティブブランチ

だ。

雲の目的は、「コンフリクトに集中すること」。コンフリクトを図示して、共通理解を作る。また、どこを攻めるかについての議論を相手と協力して行うことができる。

ネガティブツリーの目的は、「根本原因を見つけること」。すべての問題をツリー状に繋げることで、部分最適化を避け全体最適化を行う。特に、根本原因を見つけ、それが他のすべての問題を引き起こしていることを、他人に納得させるために使われる。

この二つのツールで会社の売却は防がれ、子供も言うことを聞くようになる。コメディみたいだが、エンターテインメント性が高いとも捉えられるだろう。意外に子供を説得するシーンのほうがわかりやすいのだ。

【書評】人間とは何か(マーク・トウェイン)【5冊目】

概要

「人間は機械にすぎない」 – そう主張する老人と青年との議論の物語。青年は何一つ反論できずに、最後には老人の人間機械論が勝利を収めることになる。

人間は外力と本能に突き動かされて盲目(無目的)に漂う憐れむべき存在だという基本的な思想はショーペンハウアーの哲学と同義であり、自由意志を否定する点でも共通している。しかし、ショーペンハウアーは認識の力で意志を否定できるとしたのに対し、こちらは理性は心に勝てないとし、悪の行為を選べない動物は遥かに人間以上だとしている。

この本のあまりの説得力に老妻はショックを受け、娘たちもおびえあがったという。妻の死後になるまで出版は許可されず、わずか250部の私家版しか出版されなかった。そのような本を、今我々は簡単に入手して読むことができる。