概要
中世ヨーロッパを舞台にした推理小説。
まだ聖書が修道僧により手で書写されてコピーされていた、我々には想像もつかない時代が舞台である。
ウンベルト・エーコは高名な言語学者であり、想像もつかないようなとてつもないトリックが散りばめられているのが魅力である。
特に、迷宮好きな人間にはたまらないだろう。世界で最も面白い推理小説といっても過言ではないかもしれない。
いっぷう変わった本のオススメ(127冊達成!)
マッキンゼーからハーバードビジネススクール、ウォール街、大企業の経営者、シリコンバレーへという超一流の経歴を突っ走ってきた著者が、自伝を通して、日本の教育問題「正解への呪縛」を提起する。
著者は新卒で三菱商事を蹴ってマッキンゼーに入り、ルイヴィトン日本支社の社長などをしていた人。
中身はまさに「超一流の思考原理」で、こんな考え方をする人がいるのかという実例が並んでいて面白い。
世界のほとんどの富を握っていると言われる富裕層の世界を垣間見れるのも面白い。
結論である教育問題についても、納得できる。皮肉なことに、この人のきらびやかな経歴自体が「正解への呪縛」に弱い日本人に突き刺さっている気がするのだ。この本を読んだ若者ほど、ハーバードでMBAを取ることを夢見るのではないだろうか?・・・
システム理論学者のピーター・センゲが、システム理論を経営と組織論に当てはめた理論書。
システム思考というのは、個別最適化の逆で、全体を俯瞰して、パターンを見つけるようなプロセスのこと。
伝統的には、問題に取り組むときはそれを細かい要素に分け、コントロール可能な部分に介入する。これは還元論とか、個別最適化とか、分割統治法とか言われている考え方である。
システム思考の場合は、全体を俯瞰してパターンを見つけてから、ボトルネックの部分にコントロール可能な変数がないか探し、介入するという方法をとる。
一長一短であるが、還元論の場合に絶対に解決できない問題が解決する場合があるのと、レバレッジが効いて効率が良い場合があるのがシステム思考の特徴である。
この本は、組織論への応用が主眼だが、本当に面白いのはこのシステムのパターン7種類を説明した部分だ。
これからの時代の強い組織とは、学習する組織である。
それを構成する要素は、組織の「志」、組織内の「会話」、そして「システム思考」だ。
組織が大志をもつとは、個人の専門性が非常に高くありながら、目指すべき理想のビジョンが共有されていること。
組織の会話は、ビジョンを共通言語として使い、さらに問題に向き合ったものでなければならない。ギャップが正しくとらえられ共通認識にならないと、一丸となって志に向かってテンションを保つことができない。
そして、根本的で効果的に問題にアタックするための武器がシステム思考である。
構造的問題のパターンは、次のパターンを持つことが多い。
このような問題は、ほとんどの人が全体像をつかめないことから起きている。システム思考を共通言語化することで、問題の全体像を共有(Shared Vision/Mental Model)することができる。
学習する組織については、理論上発明されたが、コモディティ化はされていない状態で、それを実現するために著者はこの本を書いたという。しかし、こんなに難しい理論が、コモディティ化することなどありえるのだろうか。
たぶんこの理論は難しすぎるのだ。なぜなら、日本語訳は、なんとこの本の本質であるシステム思考の部分を章ごと省略してしまっているのだから。訳者が内容を理解できなかった可能性もあるし、訳者が「一般人には理解できないから飛ばしたほうが分かりやすいだろう」と判断した可能性もある。
とりあえずは、未来ある頭のいい人がこの本を読んでくれることを期待している。
今まで見た中でもっとも優れた英語勉強法の本。
実質100ページくらいしかない、薄い英語勉強本で、Google日本法人社長兼Google本社副社長の人が書いている。
この人が英語勉強を始めたのは31歳で、当時独学した方法が書いてある。
一番使える方法は、「1万語覚える」方法。これはユニークで、1日100個などと最初に決めてしまい、プリントしたものをひたすら眺めるだけというもの。電車の中でも、トイレでも、とにかく眺めるだけで、意味を調べたりはしない。著者曰く、
顔見知りを増やすことが大事。通勤バスでも、何回も見ている顔は覚えてしまいますよね。
とのこと。
ちなみに、この1万語覚える方法を愚直にやってみた結果、私の場合はTOEICであれば945点までは取ることができたので、そこそこ信憑性は高いと言えると思う。
ひたすら具体的に、有名大企業24社について、何歳時点の年収がいくらとか、傷心の仕組みとかが書かれている。全て、社員インタビューに基づいており、信憑性が高い。
ありそうでなかった本。こういう本は抽象的なものが多いが、ここまで分かりやすく実用的なものはなかなか出ないだろう。少々情報は古いが、いつの時代も同じようなことがやられているものだ。空虚な就活本を読むよりはこれを読んだほうがいい。興味があれば、買っておいたほうがいい。企業リストは以下の通りだ。
人生を劇的に変えるために、「潜在意識」の力を使え。
この本は、心理学の本。
潜在意識は、「自分にあるもの」にしか働きかけることができず、特に今この瞬間に出来ることにしか干渉できないと説く。ダメな人の場合、とてつもなく小さなことしかできないが、その人が今その瞬間に出来ることを決めないと、いけないと説く。
ひきこもりを例にして、なぜ人間がダメな状態から抜け出せないかを明らかにしている箇所が分かりやすいだろう。
スリッパを揃える話が面白い。
あるひきこもりを脱ひきこもりさせる依頼にたいして、著者は「必ず今この瞬間から出来ること」を二人で議論し続けた。その結果なんと、「便所から出るときにスリッパを必ず揃えます」という結論に落ち着いたのだ。
当然依頼主である両親は激怒したが、結局このひきこもりは社会復帰に成功し、結婚までしたのだった。
つまり、人間は理性的には、「ひきこもりが社会復帰出来るわけがない」と考えてしまうので、無理な目標を実現するには、潜在意識との協働、アファーメーションを利用するというのがこの本の骨子である。
伝説の仕事の鬼であるおざわせんせいの遺した迷言を部下たちが集めたもの。
これは面白い。おざわせんせいは、「アサヒスーパードライ」のCMを作った人。また、「プロフェッショナルアイディア」の著者である。広告業界からは、「アイデアのつくり方」など、この手の本がよく出ている。
以下の名言に共感できれば、まちがいなく値段分は楽しめるだろう。
働く上での心構えの本。
6社で経営陣をやり、ジョンソン・エンド・ジョンソンの社長に上り詰めた人が書いた。
著者は存命中の人物である(オフィシャルサイト)。
この本の主張は、これをやれば絶対成功するなどというものはないので、基本を極め、凡事徹底せよということ。これは難しいことで、観点のリストがコンパクトにまとまっていることにもこの本の価値があると思う。
大成した人ならではの、温かみのある語り口にも惹かれる。この本に費やしたお金のもとは必ず取れるだろう。
自閉症の子と鬱病の妻を守りながら、主人公が東洋レーヨン子会社社長に上り詰めるまでの軌跡。
あらすじを読んだだけでは想像できない生々しさがある。
著者が完璧人間過ぎて、自然と頭を垂れてしまう。もちろん著者が人間である以上、その善意が裏目に出ることもある。その度に心折れず立ち上がる著者の姿は勇ましく神々しい。
この本を読んだ人は、自分が不幸だと愚痴をこぼす前に、この本を思い出すだろう。一家の家長が背負うべき重荷を教えてくれる。
1巻で成功を収めた主人公は、職場での、部下の代わりに火消しを続ける日々に限界を感じ、かつての師に教えを請いに行く。
「仕事は楽しいかね?」の続編は上司と部下の人間関係の本である。平社員が1巻を読んで管理職に出世したら、それも束の間、次に巻き込まれるのは板挟みの人間関係のつらさだということだろう。
面白いが、題材が身近な分、1巻ほど面白くはない。でも、この本の課題には真剣に取り組む価値がある。
結局、この本の目指す上司の仕事とは、以下のようになるだろう。
ピープルウェアという書籍でも、似た哲学が語られている。